アンダルシア州コルドバ、アルモドバル・デル・リオ城

ローマ領ベティカのルート:アンダルシアでの古代ローマへの旅

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古代ローマの石畳道である旧アウグスタ街道を歩く、自分の姿を想像できますか。「ベティカのルート」は、紀元前3世紀から紀元5世紀にかけてローマ帝国に組み込まれていた、セビージャコルドバカディスの各県を通過します。こうしたローマ街道の周辺には、きわめて美しい自然地帯が保存されているほか、セビージャ門(カルモナ)、マルチェナの城壁、古代ローマの都市(サンティポンセ)、コルドバの建築物、カディスの壮観な古代ローマ劇場など、見事な建築遺産が残っています。そうした遺産を実際に目にしてみませんか。

セビージャ県の一角でローマ帝国の痕跡を観賞する

カルモナの街には魅力あふれるローマの考古遺産があります。この街を、ユリウス・カエサルは「ベティカ最強の都市」と称しました。セビージャ門のアルカサルは、ほぼ無敵の防衛施設として機能しています。見学コースには順路が示されているため、この要塞のすべての歴史を学ぶことも、「黄金の塔」に上って街のすばらしいパノラマを一望することもできます。 一方、エシハには、ローマ帝国時代の宗教建築の重要な遺産が保存されています。スペイン・バロックの一般建築の傑作であるベナメヒー宮殿にはエシハ市立歴史博物館が入居しており、ローマ時代のモザイクや彫刻、柱頭、碑文コレクションを収蔵しています。サンタ・マリア教会のパティオにある教区博物館でも、先史時代・ローマ時代・アラブ時代の遺物のすぐれた展示に驚かされることでしょう。

アンダルシア州セビージャ県サンティポンセにある、ローマ時代の日常生活を再現した施設

マルチェナは、2つの丘、コルボネス川、そしてその肥沃な土地を灌漑する小川に囲まれた、美しい街です。この町では、周囲2,400メートルに及ぶローマ時代の城壁を眺めることができ、現在でもアルコ・デ・ラ・ロサ、モロン門、カルモナ門などの出入り口が保存されている。その30キロメートル先にはオスーナがあります。同市の考古学博物館はアルモアデ族に由来する塔の内部に設置されており、ローマ時代のガラス・陶器の華やかなコレクションを収蔵しています。こうした展示品の多くは、この自治体にあるネクロポリスで発見されたものです。ちなみに、このネクロポリスも必見の場所です。 最後に、ローマ人がイタリア半島以外で最初に築いた街、 Italica へタイムスリップしてみよう。そのためには、 サンティポンス を訪れるべきだろう。 ルタ・ビア・デ・ラ・プラタ(銀の道)の一部でもある、特別な魅力のある町である。 そこには、「エクセドラの家」の浴場と「ネプチューンの家」の浴場、「鳥の家」のモザイク、トラヤヌス帝に捧げられた「トライアネウム神殿」、ローマ帝国最大級の円形劇場、そして堂々たる古代ローマ劇場があります。

アンダルシア州セビージャ県オスーナのサン・ペドロ通り

コルドバのローマ神殿と博物館を訪れる

グアダルキビール川が横切るコルドバ の豊かさは、歴史的に川に近いことと、田園地帯の活発な活動によるもので、商業的な関係や後の芸術的な重要性を後押しした。県都コルドバでは、象徴的なローマ橋が目を引きます。これは、市内への主要な入り口のひとつとして川の上に架けられたものです。また、人々を圧倒するほど巨大なクラウディウス・マルケッルス神殿の遺構や1世紀建造のローマの霊廟も見どころです。 同県の南東部にはアルメディニージャがあり、「古代ローマの村エル・ルエド」「エル・セーロ・デ・ラ・クルスのイベロ族の村落」などの考古学遺跡を訪問できます。歴史考古学博物館では、保存されている帝国の芸術を見ることができる。毎週末に開催される「ローマの食卓の楽しみ」は、帝国の味を模倣した食事を提供することで人気がある。 

アンダルシア州コルドバ県バエナにあるトレパレドネス考古学公園

アルモドバル・デル・リオもまた、ローマ時代の痕跡を発見できる象徴的な場所です。アルモドバル城はまるで城郭都市のような造りになっており、渓谷一帯を見渡せるよう、戦略的な場所に立地しています。もうひとつの重要な飛び地は、 モントロである。グアダルキビール河の斜面に垂れ下がるように建っている家々など、町の中心部の保存状態や伝統的な建築様式に驚かされることだろう。また、イベリアオオヤマネコ、オオカミ、イベリアカタシロワシといった保護種が生息する カルデーニャ自然公園など、複数の自然地帯を楽しむこともできます。 コルドバ県で2番目に大きな自治体であるプエンテ・ヘニルで「古代ローマの村フエンテ・アラモ」を訪れると、ローマ帝国の痕跡を残す建物の遺構を見学できます。同じくバエナにも、千年来の魅力的な文化が隠されています。トレパレドネス考古学公園では、フォルム、3つの浴場、市場、神殿など、ローマのモニュメントの遺構を観賞できます。

アンダルシア州コルドバ、モントロのグアダルキビール川の眺め

ローマ帝国を巡る旅はカディス湾の前でクライマックスを迎えます

ローマ帝国時代のアンダルシアを巡る、胸が躍るようなこの旅程を最高の形で完結させるには、カディス県の県都がたたずむカディス湾に立ち寄る必要があります。市内では、当時を彷彿とさせる、イベリア半島最大級かつ最古級の古代ローマ劇場から、古い塩漬け工場や水道橋の遺構まで、数々の見どころを回れます。カディス博物館では、ローマ文明の影響だけでなく他の文明の影響によってももたらされた、この街の豊かさについて、説明がなされています。バロック様式と新古典主義様式が混在する、威厳ある大聖堂に加えて、サン・セバスティアン城やサンタ・カタリーナ城もまた、傑出したモニュメントといえます。 ローマ領ベティカのルートを巡る旅は、良質なバージンオリーブオイル、ほうれん草とひよこ豆の煮込み、サルモレホ、コルドバ県モンティージャ-モリレス産のワイン、カディス風エビのオムレツなど、アンダルシアのグルメを味わう旅でもあります。この旅程ではまた、カルモナ、カディス、コルドバ各市の観光パラドールのように、特別な宿泊施設も利用できます。

サンタ・クルス大聖堂、カディス、アンダルシア州