© Foto: Francesc Català Roca
バスク出身の世界的芸術家の100年
エドゥアルド・チジーダの誕生から2024年で1世紀になります。チジーダは20世紀でもっとも影響力のあったスペイン人芸術家のひとりであり、《風の櫛》に代表される詩的な作品で知られる人物です。 今年は二重の旅に出かけることをおすすめします。それは「スペインへの旅」と「この天才の核心へと迫る旅」。チジーダが制作した彫刻の前に立つということは、自然の声に耳を傾け、また「形」と「空虚」との調和を見いだすことにほかなりません。チジーダを感じ取るには、美術館だけでなく、彼が変化させた公共空間も訪れる必要があります。今回の百周年を機に、この比類のない彫刻家について掘り下げてみませんか。版画家でもありイラストレーターでもあったチジーダの創作活動は全人類に向けられたものでした。
今日の現代アートをチジーダ抜きで理解することなどできません。チジーダは芸術家として活動するなかで、ヴェネツィア・ビエンナーレ彫刻大賞、カンディンスキー賞、アストゥリアス皇太子賞など、数々の名誉ある賞を受賞しています。ところで、彼の出発点や彼の人生を決定づけた出来事とは、一体どのようなものだったのでしょうか?
この百周年を記念してスペインで開催される重要な展覧会をお見逃しなく。コンクリートや鋼の軽くて繊細な感触を直接味わってみませんか。
夢の頂点
チジーダが設立したこの場所は、野外彫刻が設置された魔法のようなスポットと、農家住宅「サバラガ」を利用した展示スペースで構成されています。チジーダ・レクを訪れるということは、芸術家チジーダに焦点を絞った、もっとも重要な美術館に入ることを意味するだけでなく、「特別な場所にいた」という感覚に浸ったまま、この美術館を去ることも意味します。芸術と自然が融合したこの場所では、空間と時間に対するチジーダの視点が心に染み入ります。
チジーダにとって、自身の作品を設置する空間は重要な意味をもつものでした。彼の作品の多くは自然に囲まれた場所か都市の広場に飾られています。そうした作品に触れたり感じたりできる「出会いの場」をご紹介します。